それでもいい






「あの、それ自分で言ったら良いじゃないですか?私は、幼馴染ですけど彼氏でもないし、私には関係ないので。」





いつだってそうだ。



呼び出されては雅、雅って。




私には関係ないのに。





「はっ?関係ない?神崎君の幼馴染でしょ?桜田さんが言ったら、絶対良いって言ってくれると思ってわざわざ、お願いしてるんだけど。」





「あの、誰かも名乗らない人に何で私が教えないといけないんですか?」




私がそう言った瞬間、頬に衝撃が走った。






「痛っ!何すんのっ?!」




「良いから教えろやっ!あたしは二年の滝沢。先輩に向かってそんな口聞いて、何なの?黙って教えろや。」



滝沢という人がそう言うと、




「そうだよ、さっさと言えや。」


「お前みたいなブスに神崎君振り回されて可哀想」


「後輩は黙って言うこと聞けよ」



あとの三人も罵声を私に浴びせた。





「嫌です。」




負けたくない。




こんな人に雅のことなんか教えたくない!





「てめぇ、調子乗ってんじゃねぇよ!」




そう言われ、滝沢さんの足が私に向けられた。





蹴られるっ!


そう思った。