リンクに着くとすでに沢山の人が練習していた。

私もリンクに一礼をして練習を始めた。

私の得意技はトリプルアクセルと4回転トーループ。

女子の選手でこのジャンプが跳べるのは現在私一人。

すると誰かが私を呼んだ。

あの永崎廉だった。

「柚木崎沙羅さんですよね。俺大ファンなんです。

「ありがとう。永崎廉さん。」

「俺のこと知ってるんですか?」

「もちろん。今、大注目じゃない。」

「柚木崎さんにそんなこと言ってもらえて光栄です。」

「沙羅でいいわよ。同い年でしょ。」

「え、いいんですか?じゃあ俺のことも廉って呼んで下さい。」

「ええ。よろしく、廉。」

「こちらこそ、沙羅。」

そんな風にして私と廉は友達になった。

「沙羅は王女様なのに全然普通の女の子だよね。」

「うん。お嬢様っぽく振る舞うのが嫌いなの。なんか気持ち悪い。」

「確かに。沙羅はそっちのほうが合う。でも、やっぱりすごいお嬢様なんだなって時々思う。」

「どうして?」

「沙羅の性格はイメージ通りって感じなんだけど、たまにどこか気品やオーラを感じるから。」

「よく言われる。でも、いいの。どんなに取り繕ってもお嬢様の私がいることには変わりない。けど、これがありのままの私だから。」

「やっぱり思った通りの人だ。」

「ん?何か言った?」

「別に何でもない。」

「そう。早く練習しなきゃ。」

そんな話をして私達はお互いに練習に戻った。