ー新入生、入場
アナウンスがかかって、ドアが開く。
あたしの3年間が始まる。
きっとこの中に、今までの人生が変わるくらいの出逢いが待ってる。
期待に胸を膨らませて、歩いた。
だけど、あの人はいない。
何回キョロキョロ確認してもどこにもいなかった。
代わりに、女の先輩達の「1年のくせにスカートが短い」「髪だって毛先少し茶色くない?」って言葉が耳に入っただけで、一方的に感動的な再会なんてなかった。
ただ、どうしても名前が知りたくて、家に帰ってすぐに、2歳年上で中学3年生のお姉に聞いてみる。
『今日さ〜、お姉の学年で休んでた人とかいなかった?』
「学年で?そりゃいるでしょ」
『なんで?誰?』
「…誰って言われても、学校全然来てない人もいるし」
『瞳、気になってる人いるんだけどさ。黒髪で身長がすごい高くて、なんかヤンキーっぽい?みたいな人いない?笑』
「あー神崎じゃない?」
『神崎?』
「うん。神崎 優(カンザキ ユウ)。」
『その人かなー。コンビニで一瞬すれ違っただけなんだよね。でも探してみる!3年生だよね?』
「同じクラスだよ」
『まじ!?』
