中学2年生の6月

時期外れな転校生がきた。


『かっこいいのかな〜?』

「見に行こうよ」

『ね!じゃあ次の時間いこ〜』


クラス替えでユヅキとマコとはクラスが離れてしまったけど、サキとは2年連続。小学校から数えるともう4年。

授業が終わってすぐに隣のクラスの扉を開いたけど


『…ふーん。教室戻ろう』

私立の中学を退学になって転入してきたその男は、思っていたより普通だった。

先輩ほど背が高いわけでもなくて、校則違反をしてる外見でもない。先輩は見るからにグレちゃってるってわかる。


だけど、その男は違う。

黒い髪の毛はツンツン立っていて、制服 のズボンも少しだけダボっとさせていたけど、グレてるわけじゃない。


海(かい)、という転校生。

香水は、サムライ。

足にはミサンガをいくつか着けていて、噂に聞くところサッカーが上手らしい。


なぜか聞けば聞くほどムカついた。




神崎先輩との出逢いが運命なら、海との出逢いも運命だったのかもしれない。

あたしの人生を、先輩以上に大きく変えた海。