2005年4月
制服のスカートを何回も折る。少し大きいブレザーを羽織る。買ったばかりのローファーを履いて、学生カバンを持って
『ママー!早く入学式始まるよ!』
あたしは晴れて中学生になった。
家が近所で仲がいい、ユヅキとユヅキのママと一緒に坂道を下る。
一目惚れをしたあの人とは、あれから何度コンビニへ行っても会うことはなくて、もしかしたら同じ中学校かもしれないって期待をしていた。
クラス替えの用紙をもらってすぐに自分の名前を確認する。
「あ!瞳とクラス一緒!!」
『絶対楽しいじゃん』
ユヅキと同じクラス。二人で新入生入場と書かれた列へ並ぶ。
「初恋の人に会えるといいね」
『入学式って全校生徒いるじゃん?だから探すチャンスなんだよね』
「どんな人か見たいな〜」
『ちょーかっこいいよ』
「でも瞳のタイプでしょ〜。笑』
でも、あたしの方が早く見たいよ。
あれから一ヶ月以上経っていて、声だって忘れちゃったし、正直顔だって一瞬しか見てないからぼんやりとしか覚えてないんだ。
だけど、ドアの向こうの体育館の中に、あの人がもしいるとしたら、絶対見つけられる自信がある。
根拠はないけど確信がある。
あの人の独特な雰囲気は、他の誰にも真似できない。
