platonic love





春が過ぎて、夏が近づいてくる。

今は何もないこんな小さな街が好き。先輩に出逢えた場所だから、先輩に会える場所だから。


あたしの住む街は、何もない街だけど、夏になると海水浴に全国から人が集まる。何十年も前から変わらない7月の15日、16日に行われるお祭りや、浜辺から見る花火大会が有名。



『どーしても先輩とお祭りに行きたい〜!!』

「誘ってみなよ」

『ユヅキだったら何て言うか教えて〜』

「あたしなら、浴衣着ていきますってアピールするかな!」

『え〜お祭りに浴衣ぁ〜、、』

「何だよ(笑)あたしならそう言うだけで、瞳は瞳らしく誘ってきなよ」

『わかったぁ』


どう誘えばいいのかわからなくて授業中もずっと考えていたけど、結局いい誘い方は浮かんでこなかったけど


放課後、サッカー部の部室にたむろっていた先輩を見つけて


『せーんぱいっ!!』

思わず走っていた。もやもやしていても見つけた瞬間走り出す身体には自分でもびっくりする。

笑顔で手を振るあたしを見て、先輩は相変わらず苦笑い。



「何〜?」

『…一緒に花火大会行きたいんですけど、予定ありますか?』

普通すぎる誘い方になってしまった。
どうしよう。


「友達とまわるんだよね」

『あ…そうですか。わかりました!わざわざすみません』

「うん、ごめんね?」


そのまま部室へ入ってしまった。