ストーカー行為は自分でも反省してたけど、先輩の強い口調にさすがのあたしもショックを受けた。
でもショックを受けたのは一瞬。
声を聞けたこと、電話がかかってきたこと、夢のような出来事が嬉しかった。
そんな調子のあたしに、怒りながら電話をかけてきた神崎先輩も、電話を切る頃には「はいはい」って呆れて笑ってた。
『絶対、諦めないです』
最後にそう宣言したら、「わかった」って少しだけ嬉しそうだった。
あたしは先輩に嫌われてると思う。
だけど、嫌われてもいいんだ。
先輩があたしの事を嫌いだったとしても痛くも痒くもなんともない。
ー今がすべてだから。
この1年しか一緒にいられないんだ。次に桜が咲く頃には神崎先輩は卒業してしまう。それまでは全力で頑張りたい。
長い人生の中でいつか今を、振り返った時に
『あぁ 武藤瞳ってやつがいたな』
ってあたしの事をほんの少しでいいから懐かしく想ってもらいたい。
好かれなくてもいい
彼女になれなくてもいい
でもあたしが一番、先輩の中に残りたい
