platonic love





ー起立、気をつけ

『さよーなら!!』


ホームルームが終わったと同時に、今日授業の合間に書いたメモを持って、教室を飛び出る。

階段を駆け足でおりて、3年B組の教室へ向かって走り出す。




『神崎先輩!!』


あたしの声に、教室内がざわめく。先輩達がみんなでこっちを見てる。女の先輩達は睨んでいるし、男の先輩達は笑ってて、お姉は何も言わずに席に座ってた。

先輩があたしの方へ歩いてくる。


「何?」

『…これ、読んでください。』

「わかった。」

『あたし、1年B組の武藤です。すっと先輩が好きでした』



返事を聞かずに来た道を戻る。


出逢って2ヶ月くらい。すれ違っただけで好きになって、声もよくわからないまま想って、今日告白をした。

でもこの気持ちは勘違いなんかじゃない。

だって、目の前に先輩がいるだけで、心臓が止まるんじゃないかってくらい苦しくなって、ドキドキした想いが溢れ出す。恥ずかしくて目も合わせられない。

メモを渡した時、かすかに触れた手が、熱くて仕方ない。



教室へ戻ると皆が笑顔で待ってた。


「瞳ーどうだった!!?」

『…かっこよかった』

「え(笑)告白はしたの?」

『好きってことは伝えて来たけど返事は聞かないで帰ってきちゃった…』

「何それー。楽しみに待ってたのに!」


皆で笑った。

初めての告白。それぞれの想いが、確かに動き出す瞬間が、嬉しくて。