ほうきを握りしめながら、睨んでるあたしにまだ話しかけてくる。
「どこがいいわけ?付き合えるわけないんだし。俺が言っといてやるよ」
『余計なことはやめてよ!自分の気持ちくらい自分で伝えるから』
「あの人本当おかしいから」
『もうわかったってば!おかしくても、あぶないことしてても神崎先輩は、神崎先輩なんだから…。ほっといてよ』
「心配してんだよ。わかんないの?」
『心配してもらっても、神崎先輩を好きな気持ちは変わらないよ』
「あっそ」
ーバンッ
そんな思いっきり閉めなくてもいいのに。何なの、本当…。
心配してくれてるのはわかる。
でもこの気持ちは全く変わらない。
誰かに止められて終わりにできる想いなら、それは恋なんかじゃないよ。
たとえ地獄に落ちてもいいの。
関わったこともないし、一方的に見てるだけだったけど、神崎先輩は不思議な人だった。
周りに怖がられていて、学校でも一番目立つ存在だったけど、あたしから見た先輩はいつも寂しそうだった。
笑っていても、笑っていなかった。
シンから聞いたシンナーの話、きっと本当だと思う。そんな事やるはずないって思えるような人じゃないから。
でもきっとやめれるよ。
きっと、優しい人だと思うから
