platonic love






神崎先輩は、本当にかっこいい。


恋は盲目ってよく言うけど、その時の自分はまさにその通りで、初めて制服姿の先輩を見て、この世界中どこを探したってこんなに制服が似合う人はいないとさえ思った。


黒い髪はワックスで立てられていて、耳元にはピアスが光っている。

ドカンだかボンタンだか男の子のズボンのことはよくわからないけど、一目見て校則違反でしょってわかるくらい太いズボンを履いていて、学ランの中は真っ白なティシャツ。


背の高い先輩は、きっとこの学校で誰より目立っている。




チャイムはもうとっくに鳴り終わって、やばいやばいって笑い合いながら、階段を登っていく。

ふと足を止めて後ろを振り返ると、先輩は笑っていた。




「武藤ー!!授業遅刻してどこいってんだー。早く席につけー」

『あたしだけじゃないじゃん!笑』

「走ってこないのお前だけだよ」

『うるさいなー!!ちゃんと走ってたからね。』


仲良しの担任は、結婚ばかりでとにかく熱血教師の倉田。丸顔にめがねをかけていて顔を見てるだけで笑える。倉田に怒られながら、授業が始まる。

こんな日常。

生きることもめんどくさかった小学生時代とは変わって、中学は最高に楽しい。



それは、この場所に、先輩がいたから