『すぅー』

ー7時ー

『哲平、早く起きなさいよ!今もう7時よ!』
ーガバッー
嘘だろ嘘だろ嘘だろ‼︎
スマホに目をやる。
そこには本当に7時と記されていた。

公園での奈々、寛太、彩音との待ち合わせ時間は7時半だ。

家から公園まで遠くはないけど、きっと3人とも揃ってるはず。

俺は急いで顔を洗って、髪の毛をセットして、とりあえず牛乳だけ飲んで、歯を磨いた。

制服に着替える。
俺は寛太とは違って、スボンを下げたりベルトを変えたりはしない。

初めはやってみようと思ったが、その試みも跡形も無く消えた。

『哲平は普通にしてた方がいいわ。』
なんて彩音が言ったから。

スニーカーに履き替え、玄関のドアを開ける。

『母さん、行ってくるわ!』
『朝ご飯食べてないから、倒れるんじゃないわよ』
『きっと彩音がおにぎりくれる!』
『彩音ちゃんは哲平の彼女じゃないわよ』

知ってます、知ってます。
彼女じゃないことくらい知ってます。
彩音に好きな人がいることも、俺の気持ちに気付いてないことも全部。

少し早歩きで公園に向かう。
3人とも怒ってるかな?

公園に着いた。
やっぱり3人は揃ってる。
寛太はスマホをいじり、奈々と彩音は2人ともくっつきながら話していた。

『3人とも遅れてごめんな。』

『あっ哲ちゃんおはよ。』
『哲平、また寝坊か?』
『遅いわ哲平。はい、どうせ牛乳しか飲んでないんでしょ?』

奈々はいつも笑顔で。
哲平は爆笑して。
彩音はいつも呆れている顔で。

それが俺には心地よい日常。

俺たちは全員揃ったところで学校へと歩き始めた。