「え、と…その…」
「可愛いねーホントに」
スタッフルームを開けた途端にこれだ。
流石に俺も着いていけなくなる。
ナンパ?それとも口説いてる?
あ、どっちも同じか。
「…なにやってんだよ!」
得意なスリッパ叩きで宮内に攻撃する。
「痛いっ、痛いって!」
余程の痛さだったのかそこにしゃがみ込んでしまった。
海西さんは秋人のナンパが怖かったのか俺の背中に隠れた。
「新人さんだろ?海西さんにもっと優しくしろよ!」
「海西さん?!じゃあ、あだ名はもにたんだねー」
なんて能天気な男なんだ、宮内秋人…
俺の後ろのに隠れている海西さんの体はふるふると静かに震えている。
「もにたーん、出ておいでー!」
「お前は休憩終わりだろ。さっさと行けよ、ホールに。」
スタッフルームのドアを指さし、早く仕事に戻るように急かす。
「へいへい、分かりましたー」
ガチャンと閉まるドアに安堵の溜息を漏らす海西さん。
「海西さんごめんね?でも、ああみえて宮内は悪い奴じゃないからさ。」
「はい…私も仕事戻りますね。」
素っ気なく返されたその声は何故か温かく感じた。
