「おいッ待てよ!怒んなよ」
下から牧瀬が大声を出した。階段を上っている生徒が一斉に牧瀬を振り向いた。
「・・・え?俺?」
何、動揺してんだか。
やっぱ分かんないヤツ。
私はスタスタと階段を下りた。
「何?」
私もつくづく単純だ。
腹が立ってたはずなのに、もう同情してる。
私の行動が意外だったのか、牧瀬も少し驚いている。
「あ、ああ・・・。お前、昨日の午後の授業サボっただろ。何処に居た?」
「その質問、なんか先生みたい。・・・それに、いいじゃん何処でも」
牧瀬はニヤッと笑った。
「俺さ、お前にキスした」
・・・意味わかんない。
そんな嘘ついて何が楽しいの?
「それ、脅し?」
私は嫌みに笑って見せた。


