牧瀬と仲が良いマリコには言えないことがあった。
・・・大したことじゃ無いんだけど。
牧瀬は私のことを嫌っていると思う。
何となくだけど・・・・。
私に対する態度が素っ気ないし、名前を呼ばれたことが無い。
いつも「おい。」とか言うだけ。
だから私も牧瀬が苦手だった。
私は学校の下駄箱で靴下を脱いで、裸足のまま上履きをはいた。
「・・・靴下、履かないの流行ってんの?」
後ろから聞こえてきたのは、少しだけ低い柔らかい声。
振り替えると・・・牧瀬だ。
「あ、いや・・・水溜まりに入っちゃって」
私は少し戸惑いながら答えた。
「バカだな」
鼻で軽く笑った牧瀬に腹が立った。
私は駆け足で階段を上った。


