…やだ、私ッ



先生達は相手の子が泣いているのを見て、私が一方的に暴力を振るったと思ったようだ。


「秋山、指導室に来い」


そう言ったのは、図書室で話した先生だった。


ファンクラブの子達は牧瀬の姿を見ると、高い声を出し私に言った。



「陽奈ちゃん、ヒドイよー」

「いきなり蹴ってきて…」



牧瀬は私を見た。



一体、どう思ってるんだろうか。

軽蔑してるかもしれない…。



そう思うと泣きそうになった。


私が先生について指導室に向かおうとした時、牧瀬が私の手に触れてきた。



「牧瀬…」


「アイツには気を
「牧瀬は教室に戻れ。秋山は急いで」


私の前を歩いていた先生が振り返って言った。


牧瀬の言いかけたことの意味を考えた。

きっとあの女子達のことだろう。



私は牧瀬にもう一度目をやった。

牧瀬は私の方を指差し首を横に振ったが、何のことかサッパリ分からなかった。