私は牧瀬から目を逸らさずに言った。
「でもさ、」
「・・・好きなヤツいんのかぁ。ははっ」
牧瀬は私の言葉を遮った。
口角を無理矢理上げて話す牧瀬の顔は、私の心に一生残りそうなくらい悲しくて、私は俯いた。
「そいつさ・・・どんなヤツ?」
「えっと・・・すごい馬鹿なヤツ」
何故か牧瀬に気を使おうとしている自分が嫌だった。
なんでだろう・・・
人に気を使うのなんて、慣れてるのに。
「お前は言わねーの?自分の気持ち」
牧瀬からの質問は止まない。
「だって信騎には彼女が・・・」
牧瀬の顔がピンと来た表情になった。
「信騎?」
「うん。・・・?」
「そいつ西高の2年?」
「知ってるの?」
「なんてゆーか、俺の妹の・・・彼氏」
牧瀬は少しバツ悪そうな顔をした。
「牧瀬・・・ユイちゃんのお兄ちゃんなんだ」
ちょっと複雑な気分だ。
「双子なんだよ」
「えっ!」
これにはビックリした。私はユイちゃんに直接会ったことが無かったから・・・。