…いくか… つぶやくように言った瞬の声が、かすかにあたしの耳には聞こえた。 瞬はあたしの前を再び歩き出す。 その後ろをあたしは追いかける。 きっと、瞬は怖いんだ。 この地に戻ってくるのが。 また後ろ指を指されるんじゃないかって。 だけど、 __『…風を取り戻すため…』 そのために戻ってきた。 なくした何かを取り戻すために。 もう一度風になるために。 瞬にとっての走ることは……風になることであって。 前を見てるから、今ここに来れた。 前を見たから、今あなたはここにいる。