「可哀想に…あの2人、陸上で有望視されていたのにね……」
「なんで、あの子だけ助かったんだ?」
「お友達、助けに行かなかったのねぇ…。死なずに済んだのかもしれないのに…」
「なんで、あいつはのうのうと生きているんだ…。あいつも陸上部なのか?あいつに走る権利はないだろ。」
まただ…
家を出れば、近所に人たちがヒソヒソと俺に聞こえないように話をしている。
そんなゆがんだ景色を俺は走り抜ける。
聞きたくない。
もうこれ以上聞きたくない。
わかってる。
俺に走る権利がないことくらい。
許してくれ。
お願いだから…もう、俺をほっといてくれ…