「……っつーーー!暑いっ!」
彩羅先輩が肩で息をしながら、ムカつくくらい真っ青な空にそう叫ぶ。
あたしたちも、歩きながら息を整える。
それにしても暑い。
彩羅先輩の叫ぶことはある。
今日の気温は35度超え。
ミーンミーンと蝉の合唱団が、これまた暑苦しい。
トラックは熱くなっていて、一緒に合宿に来ているスプリンターの人たちはスタートするとき、熱い熱いって叫んでいた。
クラウチングスタートだもん。
嫌でもトラックは触らないとだよね。
「はーい!休憩。水分補給しっかりとしてよー!」
そういって、キャプテンのさやか先輩の呼びかけに、あたしたちは日陰へと移動し、水分を喉へ流した。
ただの水なんだけど、これがまたおいしくて、どれだけでも飲める気がしてくる。
「あー……生き返った……。さやか先輩!次のメニューはなんですか?」
未来先輩が、さやか先輩に顔を向けてにっこりとほほ笑んだ。