「まぁ、そんな深刻に考えないでよ澪。なんとかなるなるっ!」
楽天家の紗名はあたしの背中を叩いて、あははっと笑った。
つられて、あたしとあかねさんも笑ってしまう。
そうして3人で帰る。
そうだ。
今は部活に集中しよう。
駅伝メンバーにも入らなきゃだし、タイムも伸ばさなきゃだし。
今思えば、勝木に構ている場合じゃない。
確かに、勝木の風になるところを見たいけれど、それで、自分のタイムが落ちたりしたら笑えない。
この夏は、伸ばすって決めたんだ。
「お?澪。なんかやる気っぽいじゃん!」
電車の中で紗名がニタニタしながらあたしの顔を見て笑ってくる。
隣であかね先輩が満足そうに笑っていた。
夕方の線路を、電車が走り抜ける。
あたしたちの現在(イマ)と未来を乗せて。