「Thank you!」
あたしはそういって、飛び切りの笑顔を向けた。
そう、あたしはで自分の足を取り戻す。
そのためにやってきた。
そのために、こんな孤独の異国の地までやってきた。
瞬と、陸部の仲間とも離れようとも……あたしは自分の足がほしかった。
もう一度、ちゃんと地面をこの自分の足でけりたかった。
……もしかしたら、負けたくなかったのかもしれない。
誰に?
それは……
__『お前のために風になってやるよ、澪』
あいつしかいない。
「キョウ、ワタシ、キニナルミツケタ」
医者はにこっと笑って、ポケットから1枚の紙をあたしに見せつけた。
それは、この国の週刊誌の記事だった。
そして、そこには1人の少年が映っていた。
多分、ゴールする瞬間の写真。