「お前さ、中学ん時、すっげぇ速かったんだってな。最近知ったよ。顧問とコーチが話してるのたまたま聞いちまってな」
「ここ、速いスプリンターしか入れないんすから、そんなの当たり前なんじゃないんすか?」
「いやいや、てっきり、お前は何かしらずるして入ってきたんだと思ってたんだよ。だから、怖くて走れねえのかなーと思ってな」
そういって、くくくっと笑う菅先輩。
「……俺忙しいんで」
そういって、校門を出て帰ろうとすると、先輩が「おい」と俺を呼び止める。
だけど、進む足を止めない俺。
「……大会で会おうぜ、瞬。」
微かに背中から聞こえた声。
何も知らないくせに。
そう思った。
俺が走らない理由を知らねえくせに。
知ったところで、何も変わらねぇと思うけど。



