「……やめますよ」
俺はそういって、教室を出た。
一瞬母さんの顔が浮かんだけれど、俺はどうしても陸上に戻る気にはなれなかった。
家に帰ってちゃんと母さんに話そう。
そう思った。
だけど、いざ、母さんの前に立つと、口が開かなかった。
絶対に母さんを悲しませてしまうって思ったんだ。
だから……なかなか言い出せなかった。
そのうち、時間が経って母さんと俺は校長室へと呼ばれた。
何も聞いていなかった母さんは校長室に呼ばれたことにとても戸惑っていた。
「瞬、あんた何かしたの?」
校長室の椅子に座って、先生たちが来るのを、俺と待っている間母さんは心配そうな顔をして、それだけしか聞いてこなかった。
俺は、ただただ、「わかんね」とだけしか答えられなかった。
本当は分かっていた。
きっと……
__ガチャリ……
校長室のドアが開く音がする。



