「俺はな、お前が部活こねぇのはかまわねぇけど、ここの部活のルール上、これ以上顔もださねぇなら、退学してもらわねぇとなんねぇ」
俺が追川にいたときの放課後、菅先輩は俺の教室まで言いに来た。
菅先輩の声は冷たかった。
完全に俺のことを見下していた。
その時の俺はもう、何もかもがどうでもよかった。
父さんは幼いころに、俺と母さんだけを置いて出て行って、母さんは朝から夜まで仕事三昧。
俺も、バイトするって言ったけれど、母さんはそれを頑なに拒んだ。
そして、あの拓夢と啓太の事故があったときも、母さんは俺のことを思って、住み慣れた土地を離れようって言ったんだ。
「瞬は高校生らしく、勉強して遊んで今を楽しんで」
それが、母さんの口癖だった。
追川高校は私立高校。
だけど、俺は一応特待生のため授業料は通常授業の半分以下だった。
母さんは、俺がこの高校の特待生だって聞いたときは、目に涙を浮かべて喜んでいた。
「なあ、どうすんだ?母さん、楽してやりてぇんじゃねぇの?」
目の前に立つ菅先輩が、壁によしかかりながら、腕を組んで俺を見てくる。
俺は学生かばんを肩にかけて、菅先輩に近寄った。



