皆が部室を出たとき、前を向いていたさやか先輩があたしのほうを振り返った。
その顔は真剣で、だけどどこか悲しそうだった。
そして、息を大きく吸ったかと思うと、ゆっくりと、言葉をかみしめるように語りだした。
「澪、部活を始める前に言っておくよ。……澪はね、大事な大事な部員だよ。今は一緒に走ることができなくても、大事な大事な仲間だよ。
あたしたちはね、全国高校駅伝予選の時、澪の分も走ろうってみんなで言って走ったの。だからね、今週にあるその全国高校駅伝に出ることが出来たのは、澪のおかげでもあるの。
嫌味なんかじゃない。はったりでもない。……一緒に走っているから。あたしたちは常に、澪と一緒に走っているから。それを忘れないで」
さやか先輩は笑顔だった。
彩羅先輩も、瑞希先輩も、あかね先輩も、未来先輩も、紗名も、彩華も……あたしのほうを見て笑顔を向けてくれた。
__『一緒に走っているから』
その言葉がとてもありがたかった。
涙が出そうになったけど、ぐっとこらえた。
こらえてあたしは笑った。
「全国で……1位勝ち取りましょう。……襷を繋いで」
想いを繋いで。
この空の下で。
ほら一歩、踏み出そう。
あたしのこの言葉に皆は、顔は更に笑顔になった。



