「世界には、10秒の壁なんて超えている奴何人もいんだ。俺さ、そういう奴らと走ってみてぇんだよ。確かに、日本人の筋力じゃ難しいって聞いてる。
でもさ、やっぱ上目指したいじゃん。拓夢と啓太の分も俺、活躍してぇし」
何気なくすらっとその言葉を言った瞬。
あの、転校してきたときと比べたらかなりの変貌だと思う。
昔の瞬を思い出したら笑いが込み上げてきた。
「うははっ!……瞬、あんたはやっぱり選ばれたんだよ」
そう、あんたは神様に選ばれたんだよ。
「……何にだよ」
「……陸上の神様に」
だから、走りな。
いや、走れ。
__どこまでも風になれ……瞬。



