いつの間にかあたしの頬には生暖かいものが伝っていた。
この、雫がほほを伝う理由をあたしは知らない。
そして、瞬は少し笑ってあたしを優しく抱きしめてくれる。
この腕の中はとても安心して……心地よかった。
「澪は?」
耳元で甘く囁く瞬。
どうせ、分ってんでしょ?
だって、あたしさっきから、瞬にドキドキしてばかりだもん。
こんなにくっついたらばれるよ。
「好きに……決まってんじゃんっ!バカっ!」
あたしも瞬の背中に手をまわして抱きしめた。
こんな日が来るとは思ってもみなかった。
「お前の分も走ってやる。お前の分も俺が風になってやるよ。
悔しかったら泣け。嬉しかったら笑え。ムカつくことがあったら怒れ。
それがおまえだろ?それが川口澪だろ?」
こいつとならあたし進めるよ。
どんな未来も乗り越えられる気がするんだ。
__神様。神様は残酷な人だと思った。だけど、違ったんだ。
だって、本当に残酷なら、あたしと瞬を会せたりはしなかったでしょう?



