「その背中はな……澪、お前が押したんだ。お前があいつの翼になったんだ」



拓夢があたしの目を見て強くそういってきた。




「あたしが……あいつの翼に……?」




「ああ、そうだ。澪はちゃんと瞬の背中を押した。そしてあいつは今お前のために走っているんだ。

お前がいたから、今瞬の周りには仲間がいる。そう、あいつは思っている」



啓太が、うなずきながらそういう。



「失ったものばかり数えてきりがない。ならな、得たもの探す方が楽しくないか?確かに澪。お前は1時期は記憶を失ったのかもしれない。お前は、走れる足を失ったのかもしれない。だけど、失ったものばかりではないはずだ」



拓夢が優しい、穏やかは表情であたしと目を合わせる。



あたしが得たもの……。



それは……。




「うん、そうだね。拓夢の言う通りだよ。あたしは失ったものばかりじゃなかった。得たものも……確かにある」




「なら、いいじゃねえか。堂々と生きろ。本当は俺ら、お前に目を覚ますか、このまま目を覚まさないかの選択を聞きに来たんだ。

もちろん……?」




啓太がニコッと笑ってあたしを見る。