「あいつ、翼生えていただろ?

あれはな、お前のおかげなんだ。お前がいたからあいつは翼をまとうことができた」



啓太があたしの目を見てそういう。



…え?


どういうこと?



確かに今日の瞬の走りは、あたしが中学に見たころの走りよりも感動した。


”翼が生えた”


もちろん、実際に生えたわけじゃない。



優雅で……


だけど逞しくて……


目を吸い寄せられる。



そして、瞬は背中を押されているように走る。




だから、あたしたちは思ったんだ。


”彼には翼があるのではないか……”と。