そして向かう。
瞬が言っていた。
__『……風になれる……』
そもそも、人間が風になれるなんて、可笑しいと思う。
だけど、あの時の瞬の顔は真剣で、素直に瞬が風になるところを見て見たいと思った。
何が何でも、見にいかないといけない気がした。
「__それでは一般高校男子100m予選第1組のスタートとなります。」
会場から聞こえたアナウンス。
その声にびくっと反応したのはお母さん。
「あらっ!瞬君の競技始まっちゃったわ。早くいかないとね。」
「お、瞬は、100mのショート・スプリンターなのか!」
お父さんが感心したように、にこやかになる顔。
「ショート……スプリンター……?」
初めて聞く単語じゃないと思う。



