スタンドに続く階段を上がろうとしたとき、おじさんと鉢合わせになる。
「……っ……!おじさんっ!澪は……澪は……?」
俺は息を荒げながら、おじさんに問いかける。
おじさんの顔は、いつものあの優しい顔じゃない。
俺を、俺だけをおじさんは見つめてくる。
「お前の、瞬の走りはな……すごかった。俺の思った以上にすごかった。俺、感動したよ。初めてだった。人の走りでこんなにも感動したのは。
澪は、お前の走りを見ているとき、一つも動かなかった。そして、お前が走り終わったとき……気を失ったよ。
今、紗子が病院に連れて行った。
瞬。お前は、心配しなくていい。お前はやるべきことをやったんだ。お前は何も悪くないんだ。
だからな、勝って来い。勝って、お見舞いに来てくれ。わかったな?」
そう、おじさんは俺の肩をポンと叩いて、去ってゆく。



