On Your Marks…~君と共に~




「……戻ったな…というか…羽が生えたな。翼といったほうが正しいのかもしれん。」



振り向くとそこにはコーチの穏やかな笑みがあった。



…翼…?




「あの……それって、いいことっすか?悪いことっすか?」




「いいことに決まっているじゃないかっ!あ、そうだ!……ということは見つかったんだろう?

お前に足りなかったもの。そして、克服したんだろう?」




「……ああ、あれっすか。

少し戸惑いましたけど……何とか克服できました。おかげさまで。」



俺の欠落していたもの……。


それはもう事前に澪が答えを俺に言っていた。





__『瞬は、きっとまだ心のどこかで、走ることを恐れていたんだと思う。』




あいつの言葉は、正しかった。



だけど、その時は信じたくなくて……



ただただ、そのことを認めたくなくて……



逃げた。



その想いを心の奥に閉じ込めた……はずだった。