「おお、来た来た。おい、瞬っ!」




再び、あの中学の競技場に足を踏み入れたとき、昔の俺のコーチである岩重(イワシゲ)コーチが俺を出迎えてくれた。


もう時刻は7時近い。


だけど、そこには数名の選手がいた。



「おうおう、思ったより遅かったじゃねえか。」



そういいながら、俺の背中をバシバシ叩くコーチ。



「…っ!すいません。ちょっと…いろいろあって…。」



「ああ、遅れたことに関して怒ってない。……さ、さっさと着替えて早く見せてくれ。お前の走り。」



そう、にっこりと笑ったコーチは、俺の背中をぐいっと押した。


俺はその勢いのまま、更衣室へと行き、さっさと着替え、スパイクへとシューズを履きかえる。



そして、更衣室を出た瞬間、自分の中でスイッチを切り替える。



あの日、コーチに言われた。


俺の欠点…


__『…分ったが…それはお前自身が探すんだ。答えは、もうお前の中で出ているはずだろう。』



本当は出ていた。