雰囲気は柔らかくなり、気を抜いたら、また澪はどこかに行ってしまいそうで、俺は怖かった。
「なんもねえよ。」
そういって、俺は、いつも通りベッドのそばにある丸椅子に座る。
「そう?……瞬はさ…いつもこんな時間に来て、部活とかは何しているの?」
そういって、澪は大きな目をキラキラさせて俺の顔を覗き込んでくる。
きっと、澪の見舞いに来たやつら…誰も言ってねえんだな。
自分がどんな部活で、かつて澪は俺たちと一緒に部活をやっていたということを……
「なんだと……思う?」
少し意地悪してみる。
少しだけ、試してみる。
澪は、んーっとうなりながら天井を仰いだ。