「……やばいことだと思っていた。だけど、あいつさ、何でもない、大したことないって言ってきたんだ。
お前なら、乗り越えることができるだろうって……あいつは言ってきたんだ。
あいつは、俺の弱さを見抜いて、強さを引き出そうとしたんだ。
あいつの言葉で確かに俺は、前を向けたんだ。少し目を覆いたくなる、耳をふさぎたくなることでも、あいつは俺の背中押すって言ったんだよ。
あいつは俺の追い風になるって言ったんだ。
あんなにちっこい癖にして、態度はでかかった。だけど、あいつはどこまでもどこまでも真っ直ぐで、ただ未来だけ見てた。
こいつなら、信じてみようかって思ったんだ……だから陸上始めた。」
俺はそういい終えて見たシマの顔は、不思議そうな顔をしていた。
だけど、そのうち笑顔になって、「そうか」とだけ言う。
「あいつはさ…昔っからそうなんだ。俺、一応あいつと中学から陸上やってるけど、昔っから熱かった。そして、人一倍努力家で、負けず嫌いの陸上バカ。
おまけにな…スプリンターの俺の言うことは正しいのかどうかはわかんねえけど、あいつの走りは綺麗なんだ。
瞬はまだ見たことねえもんな……。
とにかくな…速いのは当たり前なんだが……すっげー楽しそうに走るんだよ。なんちゅうの?あの……本能のままにって言うか…なんていうか……」
「人を引きつける走り……」
俺はぼそっと、シマの言葉に付け足す。



