「ごめんね……あたし、何一つ覚えていなくて。」
ふと、澪が、悲しそうにそんなことを言った。
お前は謝る必要はないんだ…
「一番つらいのは、お前なんだ。謝る必要なんてねぇんだよ。
……ないものは作ればいい。忘れたんなら……思い出す努力をすればいい。」
俺はそう優しく澪に言い放つ。
「そうだな。だけど、澪。お前の気持ち次第だ。お前が思い出したいと願うなら、きっと自然に神様がお前の記憶を返してくれるだろう。
焦らなくていいんだ。幸いにもお前にはまだたっぷりと時間がある。
記憶がなくなってしまっても、お前は俺らの大切な大切な娘であって、澪は澪なんだ。
大丈夫だ。心配しなくていい。前に進みたければすすめ。進みたくなければ休んでいい。俺らはいつでもお前の味方だ。それだけは忘れるなよ。」
おじさんが、優しく笑って、澪に笑いかけた。
そして、澪も笑う。
改めてみると、やっぱりおじさんと澪は似ていて、きれいな笑顔をしていた。



