「実はさ、あたしの従兄弟のお母さんが、追川の先生やってるんだよ。
この前叔母さんから連絡があってさ、この鷲松に1年の転校生がくるって言ってた。
しかもさ……スプリンターだって」
あかね先輩の一言にあたしたち一同は驚いた。
「「「追川のスプリンター!?」」」
皆の声が自然と重なる。
彩華はアイスを落としそうになっていた。
いつも冷静な瑞希先輩でさえ、目を見開いて驚きを隠せない様子。
「え、ええ!ちょ、追川のスプリンターってことは……」
未来先輩が、思わず、声を張り上げてしまう。
あたしは、驚きすぎて声も出ない。
そうなっても無理はないと思う。
追川高校。
県外だけど、陸上をやっている高校生ならだれもが知っている高校。
なんたって、トラック競技のエリート高校生のみが陸上部に入部できる。
完全推薦制の部活。
その中でも、あそこのスプリンターは10秒、11秒代の世界で100mをはしる選手がゴロゴロといる。
そんなエリート校からの、この鷲松。
鷲松だって、遅いわけじゃない。



