「やぁブラッド」
先客、グレーがいた。
「なんでここに?」
「いやぁ……ブラッドならここに来ると思ってね。観測手がいないと辛いでしょ? だから、ね」
「はぁ……分かるか。」
「もう10年近くの付き合いだもん、分かるさ」
『ブラッド、どうやらついたようだな。今の状況は?』
「…………ブラックが加戦している方は現在押されている模様、市民の避難は完了している。上から見ても圧倒的な戦力差が分かります」
そしてブラックは”そうか”とだけ言い電話を切ってしまった
ブラックは言葉より行動で思っていることを表す人だ。さっきのは多分""お前らに任せた""と言う意味なんだろう。
ブラックから信頼されていることは重々承知している、その期待に応えるためにもレミントンM700のセーフティを外す
「リロードはできてる?」
「いつでも撃てるようにな、あとは三脚をつけて狙いを定め。撃つ……だけ」
グレーは”よし”というと胸のポケットから小型の双眼鏡を取り出した。
できるだけブラックとホワイトに被害が出ないうちに準備をする。
「よし、いくぞ。グレー」
「あぁ、まずは奥から行こう」
奥から、といわれたので指示通りに。見える範囲での一番奥から狙っていく、どんなに頑張って隠れていてもここからでは大豆を手に取るようなもの。
スコープの中心点を頭に合わせ引き金を引く。
「ヒット、次」
今回は敵の無力化がメインだからヘッドショットとかにはこだわらないのかヒットを確認したら次、と言ってきた。
いくら国公認の殺し屋といえどもやってることは殺人。良心が痛む、とは表では言うものの実際は2,3人仕留めた辺りから良心がどうとか関係なくなる
心理学的には殺人人数が30人を超したらもっと人を殺したい衝動に駆られるとか言われているけど所詮は心理学。
人を殺したいなら殺せばいい、法に捕まるが、ただ殺したときの罪悪感が無いならば立派な殺人マシーンの出来上がり。とはよく言ったものだ。尊敬するよ、心から。なんて考えていると加戦している側が進撃していってる。
「ブラッド」
グレーからこそっと話をかけられた。多分後ろにいる奴のことだろう
昼間のスナイパーと同じくさ殺気がだだ漏れ、
「分かってる、後ろだろ。人数は3人……だと思う、おそらく奥側ばっか狙ってたせいで手前の移動に気がつかなかったんだろう。まぁ殺せばいいだけだ」