「わ、別れましたよ…。とっくに…。」

言ってて涙腺が緩む。
ライバルの前では泣きたくない。
ぐっとこらえる。

「ですよね。
元カノなら…しつこく好きになるなんて、出巣予にとっては鬱陶しい存在でしかないのよ。
嫌がってるの。わかる?」

眼力が私の心臓を貫通してんじゃねーのってくらい強い…。

「なんで、そんなこと臭子さんに言われなきゃいけないんですか?
それを決めるのは出巣予です。
鬱陶しいって思われても、気持ち悪いって思われても、それでも…


好きなんだもん…。」

な、涙が…。
ポロポロポロポロ

「…っ…ふっ…ざけんじゃないわよ!!!(胸ぐらを掴み)
あんたと付き合う前から…わたし出巣予のこと好きだったのよ!!
付き合ってるって聞いたときはお前に復讐しようと思ってたのよ!ずっとね!!それで私のファンに私とのキスの代わりとして出巣予にこう言ってもらったの。
『あの子と別れないとあの子の生の保証はない』ってね!あなたを心配した出巣予は思惑通り別れたわ!!いい気味よ!!出巣予が手に入るなら、ファンとキスだって抱かれることだってなんでもやるわ!それくらい、好きなのに…なのに…私がもうすぐ結ばれる…って思ってたら…なんなのよ?!
横から入ってきて!!!!許さない!!」


私は頭に血がのぼって思わず…


パァァアン!

『きゃぁっ』


ビンタを一発。


「あんたって、人は…」

早口でまくしたてる予定が、思わず涙が濁流のごとく溢れてきた。