恋なんて一切
したことがなかった。
私、松川乃愛。17歳。
勉強は大の苦手。
スポーツはそこそこ。
別にちょー美人って訳じゃない。
そこらへんにいる
ただの女の子。
「え?また告られたの!?」
私の目の前でそう言ったのは
大親友の、本田美歌。
びっくりするほど美形で
背はちっちゃくて
可愛らしい丸い目が
印象的で、誰が見ても
可愛いって思うよ。絶対。
そして、美歌が言った言葉。
そう。美歌が言った通り
私は昨日知らない男子に
告白された。
って…。私には
珍しいことじゃなかった。
だって…私は毎日のように
男子に告白されるから。
これが当たり前。
そして好きでもない男を
当たり前のように
振っていくんだ。
「まあね…ま、すぐに
振ったけどぉー…。」
そう。すぐに振った。
「そ…っか…。乃愛…はさ…。」
美歌が何か言いたそうに
目を動揺させた。
「何?」
「…もうずっと恋愛
しないつもりなの?」
美歌の口から久しぶりに
出た言葉。
「私は恋愛なんて興味
ないから。」
少し冷たく言って
しまった私。
昔これで喧嘩になったこと
あったなあ…。
「そ、そうだよね!ごめんね!
変なこと言っちゃって!」
苦笑いで答えた美歌。
「うん。」
そんな恋愛って大事?
そんな恋愛ってしなきゃだめ?
恋愛しなくても
生きていけるし
食べていけるし…。
何がそんなに大事なの?
