「なんですの?夜神月さん。」

その美しい食べ方に魅入ってしまっていたようで、バチっと姫木真理亜と目があってしまう。

「いえ、とても綺麗にフォークとナイフを使っていたので、見惚れてしまいました。」

私の言葉に少し驚いた表情をしたかと思うと、スグにクスリと可笑しそうに笑った。

「夜神月さんは媚を売らないのね。」

口に手を当てて私にしか聞こえないような小さな声で囁く。


「お世辞かもしれませんよ?」

またも可笑しそうに笑う姫木真理亜に素の表情が見えた気がした。

「いいえ、嘘をつく人の目じゃありませんもの。私も伊達にお嬢様してるわけじゃありませんわ。」

子供のように笑う姫木真理亜に昔の友達を重ね合わせた。