美しすぎる魔女の誘惑のキス

「…なんだよ。」

私の視線を疑問に思ったのか少し照れながらボソッとつぶやく。

「別に。なんでもないですよ。」

そう言いながらも私の目は、イケメンくんを離すことはない。

どんな人？本当の姿を見たいと思うのはみんな同じ。

他人の心を探り合うことをさも綺麗事かのように友情だなんて言う、
私はそんなチャチイ関係は欲しくない、

「お前って、変わった奴だな。」

聞き飽きたセリフに小さな退屈さを感じる

「よく言われます。」

眩しいくらいに光が灯っている漆黒の瞳が薄く細められる。

じっと見つめればその深い深い黒に溺れてしまいそうなほど綺麗で油断してしまっている自分に気づかされた。

私はそこらの女の子とは違う

ゆっくりと口元を上げる私に訳がわからない、といった顔を向けてくる。

ガラガラッ

消毒の淡い香りが溢れる白色を基調とした清潔感溢れる場所。

それは快適で、絶好のお昼寝スペース。

「先生、会議中みたいだな。」

先生のいない保健室なんて天国以外の何物でもない。

真っ白なベットに近づくとそっとおろしてくれる。

私を気遣ってくれていることが触れている部分から伝わってくる。

「足、見せてみろ。」

私の足下にひざまずき、下からまっすぐに私を見つめてくる。

おずおずと私の足をイケメンくんに差し出すと、私の靴下をそっと脱がし、湿布で患部を包み込んでくれる。

湿布と悪戦苦闘しながらも、優しくいたわってくれるイケメン君に自然と笑みが零れる。

「あ、今お前笑っただろ。 俺がせっかくしてやってんのに…。」

照れ隠しをするように声が大きくなったイケメンくんにまた笑いがこみ上げてくる。

「…笑ってんじゃねぇよ。」

照れたかと思ったら今度は口を尖らせ子供のように拗ねる。

この人は悪い人じゃない。

今までの人たちとは少し違うイケメン君に、この時にはもう、私の中の何かも変わっていたのだと思う。