「そんな事より、りおん――さっきから曲がり角にさしかかる度にそわそわしているが、どうしたんだ――」
ピカッ――りおんの瞳が輝く――。
「そりゃぁステッキさん、遅刻イベントだよっ――」
「何だ、それは――」
「ほらほらっ、食パンくわえた女の子が、遅刻遅刻ぅーって走って、曲がり角でわたしとぶつかってその衝撃波が街を、地球を呑み込んでゆく、お馴染みのイベントの事だよっ――」
「それで、学校に行って教室に入ったら、何故かわたしの隣の席が空席で、ホームルームが始まると先生が、転校生を紹介しますって――んで、その転校生はさっきぶつかったあの女の子っ――」
「まだ制服が間に合ってなかったから、転校生ってわからなかったんだよねぇ――みたいなドキドキ展開を待ってるんだけどな――」
早口で捲し立て、興奮気味のりおん――。
「何なら、わたしからぶつかってもいいよっ――」
お茶目に言い、りおんは別のファスナーを開け、用意していた食パンを取り出す――。
「何をやっているりおん――それを早くしまえ――」
ステッキさんが、りおんの上気を冷ます――。



