適当魔法少女・りおん


桃迦を襲おうとする男の前に豹が立ちはだかり、前足の鋭利な爪で男を薙ぎ払う――。




「うぎゃゃゃあっ――」



のたうち回りながらも絶叫で激痛を誤魔化し、切り落とされた右手首をいとおしそうに胸元に抱き抱え、男は必死で女の元へと戻る――。




「桃迦、こいつら喰っていいか――」



「やめておきなさい――喰っても虚しく、汚れるだけよ――」


動じず、美しい風景でも眺めているかの様に、麗しく桃迦は言い、諭した――。





「うぐぐぐぅ――」


低く怨み声を鳴らす男の上着は血塗れで、寒いのか、痛さをこらえているのか、小刻みに体が震えている――。




「ふふっ――さすがね――男――切り口が綺麗だから、適切な処置を施せば、今ならまだその手首がつくかもしれないわね――」


優しく言い、豹の毛並みを遊ぶ桃迦――。



「女、まだ夫婦でしょ――止血してあげなさい――」


「あ、ああああぁ――」


思考が停止した女は、ただ声を吐き、凄惨な光景に脱力したのか、絶望なる液体が下半身から滲み出ている事にも、女として気づきもしない――。




「ちっ――――」