あたしの好きな人




間近で久しぶりに聞いた稜の声。



でも、いつもみたく明るくなくて

冷たくて怖い。



ますますパニックになって、なんて言ったらいいかわからなくなる。




「用ないなら帰って」




…ちがう、待って。


用ならちゃんと…あるから




「りょ、稜っ…」




言葉が出なくて、なんて言ったらいいかも分からなくて、とにかく泣きそうで


でも稜を引き止めたくて思わず稜の背中にしがみついた。





「外じゃ迷惑だから、中は入れ」





玄関まで入ると、稜はリビングに行こうとした。