あたしの好きな人




「あれ、波奈?起きてたの?…て、どこ行くのー?」



準備をして下の階に降りると、お母さんが朝食を作っていた。



「すぐ帰ってくるから」

「え、波奈、ちょっとー?」



お母さんの言葉を遮るように、ドアを閉めた。



稜の家に行く。



稜に会うためにはそれしかないから。




あたしは、英語の勉強を教えてくれた時のことを思い出しながら

どうにか稜の家に向かった。