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桃夜と話し合ってから数週間後。




「さむーい…」

「こうすりゃましだな」

「ちょ、稜!」

「いーじゃん、寒いんだろ?」



学校の帰り道で、稜はあたしの手を握ってポッケに入れた。


なんで一緒に帰ってるかっていうと、

稜があたしと帰りたいらしい。


ここ最近はずっとそうだ。




「…こんなの傍から見たらカップルじゃん」

「やっぱ俺らお似合いだな」

「ちがいますー」



勝手にお似合いにしないでもらいたい



「っくしょん」

「…波奈、風邪?」

「…ううん、大丈夫」



季節は冬。

って言ってもまだ11月半ば。



「家、誰かいる?」

「んー…今日は帰ってこない」

「……お前、ほんとに大丈夫か?」


稜はそう言って、あたしのおでこに手を当てた。


「これ、熱あんだろ…」

「……稜の手気持ちー」


あぁ、あたしこれ風邪ひいたな。

熱あるな。


稜の手が気持ちいなんて、どうかしてる。