あたしの好きな人




◇◇◇◇◇




それから体育祭も後半になり…





「全学年男女混合ダンスの始まりです!皆さん照れずに満喫してくださーい」




すごく楽しそうな先生の合図と同時に音楽がスタートした。




………これは、ものすごくかったるい。




楽しいダンスのはずなのに、何でかったるいか







そんなの稜のせいに決まってる。





「あんた、1年でしょ?」

「あ、はい」




このダンス、女子とも可能という設定。



その最悪な設定により、あたしは今地獄にいる。





「最近どうなの?なんか調子乗ってるらしいじゃん」

「えっと…何のことか…」



とか、嘘。

稜のことなんてすぐ分かる。




先輩は私とダンスを踊りながら、ずっと睨みを効かせてくる。


……こりゃ、辛いよ。




「稜君のこと好きじゃないんでしょ?遊んでんの?」

「あたしは別に遊んでません」

「いや、笑わせんなよっ…あれじゃ稜君が可哀想すぎる」




そんなこと言われても…


稜に言ってもどうにもならないし、さっき宣言されちゃったし。




稜の事が好きなら、伝えればいいのに。



ってあたしそんな偉そうなこと言えない





「ねぇー、うちの稜連れてかないでくんなーい?」




そしてまた別の先輩。




うぁぁあ…辛いよ。


なんでこんな怖い先輩ばっかりなんですかー。




千枝ちゃんはきっとモテモテだろうし、


それは稜も同じだし、


結斗は綺希先輩といたいだろうし、





………って、誰も助けてくれる人いな……






あっ!!