あたしの好きな人




「こ、こっちに来て!」



視線に耐えきれないし、どうせあたしが逃げても稜なら追って来るし、とりあえず体育館裏まで稜を連れた。




「手なんか握っちゃって…やっぱ俺に惚れたろ?」

「うん、惚れるわけないよね」

「チッ…慣れたか」



おーい、素が出てますよー。




「あのさ、稜」

「ん?」

「あたしのこと応援してくれてありがとう」




あの時、正直前の人を抜けるがギリギリで



だけど“波奈ーっ!!走れー!!”って言ってくれたからか…


グンッと力がみなぎってきて




「なーに、やっぱ俺に…」

「ありがとう、って言っただけ!」




もう、『俺に惚れた?』なんて言わせないんだから。




「波奈は可愛いなぁ、本当」

「はいはい」

「おい。反応うすいぞ」

「だって、毎回聞くんだもん」



それに可愛いなんて思ってないくせに。