「ん」

「え?」



ふいっと出された稜の手。



なに、どうしろと…




「こーだよ。帰っぞ」

「えっ、ちょっ…」



ポカーンとしていると稜があたしの手をとって、足速に歩いていった。



手を繋ぐなんて恥ずかしいけど、稜も…恥ずかしかったりするのかな?




そう思うと、手を繋いだままでもいい気がした…。





後ろ姿の稜は、やっぱりかっこよくて。



……なんでこんなかっこいい人があたしに好きとか言うのが分からないけど。




ていうか、本当に好きなのかな。って不安になるくらい。



いや、不安ってわけじゃないけど。






でもなんか有り得ないっていうか、信じがたい。





「なぁー、波奈」

「ん?」

「俺に惚れたろ?」

「は、はぁ!?」





こんなことを急に言い出す。



これだから稜の“本当”が分かりづらいんだ。